メンタルダウンする自衛官が多い原因に、精神科やカウンセリング受診に抵抗がある自衛官が多いこと、カウンセリングも受けるまでに時間がかかること、さらに自衛官が『弱さを見せることへの恐怖』を抱いていることが考えられる。
私なりに自衛官が『人に弱さを見せることなく』、自分のメンタルを維持する方法を調べてみた。
自衛官のみならず、男らしさや我慢信仰に縛られて、自分の弱さを認めたくない人全てにおすすめだ。
方法だけまず知りたい人はこちらから飛んでね。
限界突破してメンタルダウンする自衛官は『弱さを人に見せない』から
先日興味深いツイートを見つけた。
メンタルダウンする自衛官の特徴を考察したものだ。
一般人でも精神科にかかったり、カウンセリングを受けることに抵抗がある人は多い。
ただ特に自衛官ではカウンセリングですら受けることを拒否する傾向がある。
その理由として、自衛官にとって『辛いことを我慢することは美徳であり、逆に弱さを出すことは恥ずべきこと』という思考があるかもしれないというツイートだ。
このツイートはものすごく納得してしまった。
このマッチョな考えが良い悪いではない。
ただ自衛隊のメンタルダウンの原因の一つとして男らしさの呪縛と我慢信仰は確かにあると思う。
このツイートに対して私の返答も乗せておこう。
私が自衛隊病院で見てきたメンタルダウンする自衛官の特徴だ。
長いので要約すると、
①自衛官のメンタルダウンは責任ある幹部が多い印象があり、幹部ほど限界まで我慢して受診する
②周りには限界突破するまで気づかれることがなく、早期発見が困難。
③彼らは人に頼ること、弱さを見せることが極端に苦手。
これらが限界まで我慢して、心身に異常をきたしてから受診する自衛官の特徴だと思う。(あくまでも主観だけど)
もちろん新入隊員などもメンタルダウンすることは多いけど、新隊員は比較的早く異常を察知されて受診することが多かった。今は部隊も気をつけているしね。
また自衛官特有の災害派遣などのPTSDなどは今回は別の話だ。
災害派遣のPTSDに関しては興味があれば私の以前のポストを見て欲しい。
自衛官はその仕事柄、男らしさを追求しなきゃいけない。
その男らしさは我慢が美徳であり、弱さを出すようなことは論外だ。
女性自衛官でも、この男らしさは要求される。
自衛官の男らしさは限界を作ることを許さない。
限界などまやかしであり、すべての問題は努力と根性で必ず解決できるものだと思い込ませる。
この考えは有事に働く自衛隊には必要だと思う。
でもこの考えを続けて無理していくと、いつか壊れるときがくる。
そして壊れるまで誰もその悲鳴には気づかない。
自衛官がカウンセリングや精神科受診するハードルは高い
メンタルダウンした自衛官は周りからすると不思議だ。
バリバリ仕事をしていて、頼りがいもあり、愚痴も言わず働いていた。
『そんな人がいきなりメンタルダウンするなんて…』
職場に付き添ってきた上司から良く聞く言葉だ。
メンタルダウンする人は弱さを表明しないので、周りにSOSが届かない。
さらに本人も弱さと限界に気づこうとしないことが問題なんだ。
なぜなら限界を感じることは甘えだし、限界は必ず乗り越えられるものだと思ってるから。
壊れる前に体と心からはSOSが出ていても、本人は無視して頑張ってしまう。
なので自衛官は自分の心と体に向き合う必要がある。
具体的には早い段階で人に相談する、カウンセリングを受ける、などを行い限界を迎える前に職場環境の改善または精神科受診をする必要がある。
でも現状は難しい。理由は以下だ。
- 人に弱さや限界を話すことは恥と考える風潮がある
- 相談のハードルが高い(カウンセリングを受けづらい、部内相談員が機能してない)
特に自衛隊病院に気軽に受診するのは以外と難しいし、近くに病院があっても精神科がいないことすらある。
また部外病院に受診することも、受診した疾患を部隊に聞かれる可能性があり躊躇される。
加えて田舎だと精神科に受診するだけで噂になるかもしれない。
また人に相談するのも難しい。
部内相談員は狭い駐屯地・基地内で知り合いの可能性すらある。
海上自衛隊なら相談する暇すらないだろう。
なにかいい方法はないのだろうか?
自分の感情を受け止める:こころのライティング
人に悩みを話すだけでもメンタルダウンは防ぎうる。
実際カウンセリングに紹介するだけで、自分の限界に気づき働き方を変えたりすることでメンタルダウンを回避することはできる。またカウンセラーが必要と判断すれば精神科へつなげることも可能だ。
でも上述した通り、自衛官は弱さをさらけ出すのが苦手であり、またカウンセリングは簡単に受けられれない。
そこで自室で一人でできる『こころのライティング』を紹介したい。
人に話すだけで楽になるのは感情を言語化し、自分の感情を見つめ直すことができるからだ。
では話す人がいない場合は?
そんなときは自分の感情を言語化して紙に書き出してみればいい。
やり方は簡単で、紙とペンがあればいい。
- 邪魔の入らない時間と場所を確保する
- 最低、20分中断せずに今の自分の感情を紙に書く
(嫌なことがあったときの気持ち、嬉しいときの気持ちなど) - 誤字や文法は気にしない
- 他人のために書かず、自分自身のためだけに書く(誰にも見せない)
- 自分にとって重要な、とても個人的な事項に関してだけ書く
- 現時点で対処できる出来事や状況にだけ取り組む
これだけだ。これを毎日20分間続けるだけでいい。
この方法は①必要なものは紙とペンだけ②今後の治療に悪影響はない③そして誰にも弱みを見せなくてすむ、といいところが沢山ある。
特に③弱みを人に見せなくていい、というのが自衛官にはぴったりだろう。
現にこの方法はアメリカの退役軍人病院でPTSDの治療に用いられているようだ。
これをすることで自分が押し殺していた心のSOSと向き合うことができる。
頑張りすぎて限界を超えそうになる自分を客観的に見てブレーキをかけることができる。
ブレーキをかけることを恐れる必要はない、事故を防げばアクセルはまたいつでも踏める。
でもブレーキを踏まずに事故を起こしたら、二度とアクセルは踏めない。
最近いそがしくて楽しいことがなかったり、眠れないなどの症状がある人は気軽に『こころのライティング』を試してみて欲しい。
続けて効果があれば幸いだし、効果がなければ心配せずにまた努力し続ければいいだけだ。
もしこのライティングで自分のSOSに気づいたら、『本当の』カウンセリングを受けにいくことを考えて欲しい。
さいごに
私は専門が精神科じゃないけど、この方法は自衛官に特に向いていると思ったので紹介した。
メンタルダウンするまで頑張りつづける自衛官は予想以上に多い。
解決策はないかいつも考えていたけど、病院に受診する時点で手遅れなことが多い。
なので自衛官の思考のクセを考慮した『こころのライティング』を広めることは有益だと判断した。
実際に試した人がいれば、どうだったか教えて欲しい。
(ちなみに私は悩みも全くないし、今の仕事もノーストレスで毎日8時間睡眠なので試してないんだ、ごめんな)
もっと詳しく知りたい人は、下の本に詳しく書いてるからおすすめ。
『こころのライティング』に関して更に詳しい本もあるんだけど、今絶版で手に入りづらいみたい。
一応作者の名前で調べると元論文も出るから、更に詳しく知りたかったら調べてみてな。
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